一般社団法人 日本フォレンジックヒューマンケアセンター設立のご挨拶

 日本フォレンジックヒューマンケアセンターは、英語表記では Nihon Forensic Human Care Center(以下、NFHCC)と表現します。

 性暴力は国連の定義では「身体の統合性と性的自己決定を侵害するもの」として人権侵害にあたり、女性20万人に一カ所のレイプ・クライシスセンター設置が望ましいと勧告が出ています。日本においては性暴力被害者支援体制はまだ始まったばかりで、性暴力に対する理解も進んでいないのが現状で、ようやく各都道府県1カ所以上を設置することが目標とされ、現在約50カ所が設置されたところです。

 このような中で、性暴力救援センター日赤なごやなごみ(以下なごみ)は2016年1月に開設しました。開設後3年3ヶ月間で約700名の方からのべ4000件のご相談を受け、300名以上の方が来所されました。来所者の半数は性暴力被害直後で早期に緊急医療処置や心理支援につながりましたが、半数は誰にも相談できずに長年苦しんできた被害者の方々でした。また、18歳未満の被害は来所者全体の25%を占め、子供の被害が年々低年齢化していることから性教育の必要性もわかりました。被害者であるにもかかわらず、経済的負担が厳しくて支援を受けない子供たちもいます。被害の多くは顔見知りからであり、身近に性暴力が広がっています。
 性暴力被害者の多くは相談できない環境の中で性暴力被害がトラウマとしてPTSDを発症し家庭、学校、職場、社会の中で孤立を深めていきます。いつでもどこでも支援が受けられる体制整備が必要です。そのためにも性暴力被害者支援看護職(SANE)を養成し、病院拠点型ワンストップ支援センター設置に向けた活動を実施します。また、できるだけ早く心理的支援が受けられる体制づくりも重要です。

 このような性暴力被害者を取り巻く環境を踏まえ、なごみと協働しながら、加害者にも被害者にもならない安全で安心な暮らしができる社会をともに創造していきます。

日本フォレンジックヒューマンケアセンター
会長 片岡 笑美子